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革市通信KAWAICHI COLUMN

ちょっといいモノを毎日に2021年10月29日

三大吉日到来直前 秋のお財布買い替えは今!

日本革市choice / レザーアイテム特集

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三大吉日到来直前 秋のお財布買い替えは今!

この時期は、夏を終えて水分や紫外線で少しくたびれたお手持ちの本革財布のお手入れをしながらも、もうひとつお財布の新調をご検討されているかたもいるようですね。お財布を買い替えるにも「良い日」があることはご存じですか?

「天が万物の罪を赦す日」とされる「天赦日」(てんしゃにち・てんしゃび)。この暦の上で最も良い吉日、何をしてもうまくいく日に加え、物事を新しく始めるのに良いと言われる「甲子の日」、そして「大安」という3つの吉日が重なる、2021年11月12日。「春財布」の時期を待たず気分一新、新しいお財布で心機一転とお考えのかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

スペシャリティショップ出身の鎌倉泰子さんが、日本中から集めた本革製品の中から、バイヤー目線、ユーザー目線でレザーアイテムをご紹介します。

ミニ財布が一種の流行アイテムになって何年か経ちましたね。更にコロナ禍のSTAY HOMEがきっかけになってキャッシュレス化が急激に進んだせいもあり「こんな小さくても全然困らない!」と、小さいお財布に路線変更したかたもいらっしゃるようです。一方、「やっぱりお札は折りたくない」「カード類を全部持ち歩きたい」などと考えたり、もう少し大きいほうが使いやすかったなどの理由で、いわゆる二つ折り財布や長財布に戻ったかたもいらっしゃるみたいですね。実際、長財布を作るメーカーさんの「なんだかまた忙しくなってきた」という声も聞こえてきているんですよ。

リモートワークか否か、で持ち歩くお荷物の量が変わり、バッグの大きさを見直して、お財布をまた選びなおす機会が来たというかたもいらっしゃるかも知れません。日本革市で取り扱う本革アイテムはたくさんありますが、その全てが常時、百貨店や専門店などで取り扱われているわけではありませんので、この機会に幾つかご紹介させていただきたいと思います。

これは見たことがなかった!お札が折れない三つ折り財布

黒桟革ミニ財布

(メーカー:株式会社 京でん

日本製の本革素材の中でも個人的に特に好きな、「黒桟革」(くろざんがわ)を使った三つ折り財布。見た感じは普通の三つ折りに見えるのですが、横から見ると、アコーディオン型に近いですね。これが一般的な「極小財布」と言われるものとは違うところ。「お札、これどうなってるの?」と思ったら...。

黒桟革ミニ財布

カードが真ん中ではなくて小銭が真ん中、というのが一番使いやすい配置だそうですよ。鍵やストラップなどを付けられる穴が開いているのが親切。黒桟革以外にも、たくさん種類があります。

「革の黒ダイヤ」とも呼ばれている、「坂本商店の黒桟革」は、非常に手の込んだ伝統的な革素材です。簡単に説明させていただきましたが、熟練の職人さんが朝から晩まで作業をしても1枚作るのに1日以上かかるそうです。私も工場見学にお邪魔しましたが、温度や湿度を見極めながらの作業は本当に大変。生き物、自然と向き合った「本革」ですね。

漆もまた天然素材ですから、長く使っていくと変化が出てきます。空気中の湿気に反応して、キラキラとツヤが出てきます。機能的なお財布、日本が世界に誇る素材としても、価値のある1つ。黒以外の色も素敵です。

黒桟革ミニ財布

「うんちく」に迷ったらこちら 2社コラボのオリジナルコードバン

天然皮革の中でもデリケートと言われながら、使い方と素材そのものが持つ個性が作る経年変化で、選ぶ人を魅了し続けてきた「コードバン」。仕上げや製品では各メーカーが個性を競っています。レザーブランドや百貨店などでその説明を聞いて、どれを選べばよいのか迷ってしまった経験があるかたもいらっしゃるのではないでしょうか?色もベーシックカラーが多いですし...。実は私もそうで、まだコードバンのアイテムを買ったことがないんです!

先日、実際手に取って見せていただきながらご担当の方に直接お話を伺い、改めてこの独特の素材感には驚かされました。長野県飯田市のタンナー宮内産業株式会社と創業1952年の老舗鞄メーカー株式会社 猪瀬が開発したオリジナルの素材で、「水染めオイルコードバン」と呼ばれているものです。わずかな毛穴や風合い、革らしい素朴さがうっすらと色をまとっており、最初の質感はマットで革の風合いが感じられますが、それが、使い込んでいくうちに、透明感と上品なツヤを増していくそう。私はきれいな色が好きなので、選ぶならブルーかグリーンかな。ころんした丸みがかわいいし、三つ折りでもカードポケットが5ヵ所。経年変化を楽しみたいので長く愛用することを考えると、やはり内装まで革というのも選ぶポイントになりますよね。

財布(三つ折り)

(メーカー:株式会社 猪瀬

Flathorityのメーカーサイトでは、素材の誕生秘話やエイジングレポートも紹介されているので、是非見てみてください。

この薄さでお札は15枚、カードは10枚入ります

お財布って、果たさなければいけない役割がはっきりしているので全く新しい形は生まれにくいものですが、こちらはとても珍しい仕様です。何枚もの薄い革を重ね、外から見えないところでも縫い留めながら形づくられた極薄の本革財布。小銭も20枚が問題なく入り、フラップの内側で受けるので取り出しやすく、こぼれもしません。

small wallet

(メーカー:株式会社 chi.wata

ブランドはchi.wata(チワタ)。日本革市会場でデザイナーさん自身がご来場者様に使い方を説明している場面を見ることがよくあって、もうね、手品師みたいなの。きっとあれはわざと!勢いよくお財布を逆さにして、小銭をじゃらっと一気に出すのですが、絶対にこぼれない。見ているかたがたが声に出さずとも「(危ない!)」とびっくりしているのがわかるのですが、そういう私も最初はハラハラしてました。でも、本当にこぼれないし、取り出しやすいんです。お札も中に入れるというよりも横からスライドさせるように入れるところが、他のスリムウォレットと違うところ。
色違い、素材違いもたくさんあるので、選ぶのも楽しそうです。

この1.5㎝の差がバッグの大きさを決める

ミニ財布のご紹介が続きましたが、「薄いほうがいい」「少しでも小さいほうがいいけれど、お札を折るのが嫌」、というかたに使っていただきたいのがこちら。横幅 約17.5㎝。これは一般的なファスナー付き長財布より1.5㎝ほど短く作られています。縦横のバランスもちょっとかわいいですよね。今年はミニトートも横型ではなく縦型が出てきているので、縦に入れても上から出ない「短め長財布」は注目アイテムです。

ソッティ211029_autumn_08.jpg

(メーカー:株式会社 DIECI-LABO

カードポケットは、12ヵ所で、重なりにくい配置になっていること、内装の縫い方に工夫をしていることで、全体の厚さを抑えています。
革が3種類あって色数も豊富。シワのあるヌメ革は、キズが目立ちにくく、革の質感も楽しめる素材。その中でもこちらのグリーンはバッグと同様、ブランドの人気色です。

小銭はほとんど持たないかた、カードだけ別でたくさん持ちたいかたへ

キップレザーに、職人が手作業で施した奥行のあるグラデーションが美しいこちらの本革長財布は、見た目の緊張感も心地よく、お札はぴしっときれいなものを持ちたい、持っているカードも一目でわかるようにしたいかたへ。

長財布(小銭入れ無し)

(メーカー:株式会社 パーリィー

カードは16枚入りますので、よく使うものとそうでないものを2ヵ所に分けられますね。お札を入れるポケットの他に、5ヵ所のフリースペースがあるので、領収書などもきれいに整理できそうです。
革工房パーリィーのクラシックシリーズには小銭入れもあるので、セットで持っておくと何かあった時にいいですね。色は3色。華やかな雰囲気は、決してどなたにでも似合う、どんなシーンでも大丈夫...というものではないのかもしれませんが、シリーズで揃えたくなる存在感です。

長財布(小銭入れ無し)

手のひらで革の存在感を愛で、経年変化、素材の美しさを楽しむために、お財布は小さいものではなく面積の大きい長財布の類いを選ぶというのも、革好きさんならではのお財布の選び方。アイテム検索もできますので、お財布を買い替える時に、日本革市の「Japan Leather Item」を参考にしていただけると幸いです。

私は、テイクアウトのコーヒー1杯でもカードで支払いをすることが多く、現金を使うことが1週間のうちの1度も無かったことさえあるほど。それでも東京以外に出張に行くと、現金が必要になることがあるのですが、困るのは帰ってきてから。小銭を積極的に使わなくなって久しいので、私の小さな三つ折り財布にいつまでも残っているんです。そっか、pasmoに全部チャージしちゃお!と思ったら...5円玉と1円は戻ってくるんですよね。ファーストフードかコンビニで寄付、がいいかな。
そうそう、「お財布を使い始めるのに良い日」については諸説ありますので、ネットで色々調べてみると興味深いです。早く手に入れて、使うまで寝かせておく、という方法もあるそうですし。毎日使うものだから、ゆっくり探しましょ。
でも、素敵なお財布に出会った日が良い日、ですよね。

それでは、また。

文/鎌倉泰子

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