素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本の皮革製品メーカーMaker

ブランドと教室を通じ鹿革の魅力を発信
株式会社 KAZINO leather works(東京)

1手縫いによるこだわりのものづくり

八王子のみずき通りにショップ兼工房を構えるKAZINO leather works(カジノレザーワークス)。代表の梶野恭男さんは、ブライダルジュエリーの制作会社やバッグのリペア工房に勤務した後、2011年11月1日に現在のショップをオープン。翌2012年1月に完全独立を果たした。
「独立前はいろいろな職場で働きました。特にリペア工房ではバッグの構造や壊れやすい部分を学ぶことができ、その経験が今の仕事にも活きています」
そんな梶野さんが手がけるブランドKAZINO(カジノ)では、主力のバッグから小物まですべてのプロダクトに鹿革を用い、手で二本の糸を交差させて縫い上げている。
「鹿革が好きで、その風合いを活かすべく手縫いにこだわっています。手縫いでつくり上げることによって独自性を打ち出したいという意図もあります」
また、重く壊れやすい金具を極力使わないようにしているのも特色の一つ。このようなものづくりの姿勢で、全国にファンを増やしている。

2お客様の声をプロダクトに反映する

ここで、KAZINOの代表的なプロダクトを紹介していきたい。
定番の切れっぱなしショルダーバッグは、蓋の部分に切り離したそのままの革を使用しており、すべて一点もの。切れっぱなしトートバッグも似た雰囲気で、ナチュラルさがじつに魅力的だ。リュックサックは背負っても肩に掛けても使える2WAY仕様。梶野さんによると「革製品で軽いリュックを探している方に喜ばれます」とのこと。
すべてのアイテムに共通しているのは、ソフトでしなやかな鹿革の持ち味を最大限まで引き出していること。そして、エンドユーザーの声を反映させて改良を加えていることだ。
「たとえば、初期モデルの切れっぱなしショルダーバッグは内側にファスナーがありませんでしたが、お客様の要望に応え、今は内ポケットにファスナーをつけています。CMC糊を使って革の裏側の毛羽立ちを抑えるようになったのも、お客様のご意見からです」
常に消費者の視点を忘れない梶野さん。新たな製品を手掛ける際も、ユーザーの意見を大切にしているそうだ。

3日本の鹿革の品質は世界でもトップレベル

こうしたブランドの展開と並立して行っているのが、鹿革を使う手縫いのワークショップだ。工房を教室に月2回のペースで開講しており、自分で使いたいアイテムを制作する受講者を丁寧に指導している。
「生徒さんたちがご自分のつくったものを使って自慢している姿を見ると、本当にうれしいですね。鹿革になじみがなくても、製品を使っていただくとその良さに気づいてくださる方は多いです。人肌に近く通気性も良いので、日本の気候にも適しています。今後もさらに鹿革の魅力を浸透させていきたいです」
そんな梶野さんが使っているのは、ニュージーランド産の原皮を奈良県にあるタンナーでなめした鹿革だ。
「日本のなめしの技術は、世界でもトップレベルにあると思います。海外の革は良くも悪くも荒さや雑さがあるように感じられますが、日本の革は独特の几帳面さが伝わってきます。ものづくりにも同じことが言えると思いますね」
今後の夢は、プロダクトの逆輸入。ニュージーランドでKAZINOのバッグが見られる日を心待ちにしたい。

2020/9/23 公開
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