素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本の皮革製品メーカーMaker

ものづくりの価値を高めるファクトリーブランドを展開
株式会社 三竹産業(東京)

1革を無駄にしないという心構えが大切

「創業者の祖父は、ものづくりに人一倍の誇りを持っていました。とにかく革が好きで、亡くなる直前には点滴を打ちながら工房に来たこともあったくらいです。革を余らすな、無駄に使うなと、しょっちゅう言っていましたね」
しみじみと往時を振り返るのは、三竹産業の代表取締役社長を務める麻生和彦さん。初代の祖父からはものづくりの厳しさと面白さを、2代目の父からは顧客への誠意の尽くし方を学び、3代目として1925年から続く同社を牽引している。
三竹産業は、2つのブランドを展開している。その名は、「ANNAK(アナック)」と「DADY(ダディ)」だ。
2001年に「鉋(かんな)」という名で設立され、2004年に名称を変更したANNAKのコンセプトは、ハンドメイド。手染めと手縫いによってヴィンテージ感を表現している。現在は、ベルトからウォレットまで、ユニセックスのレザーアイテム全般を制作。ちなみに、革はおもに栃木レザーから仕入れている。
「2000年初頭に海外生産が増え、価格帯では太刀打ちできなくなりました。そこで発想を転換し、安さで勝負するのではなく、私たちの技術の粋を結集したものづくりをしようということでスタートしたのがこのブランドです。ウォッシュドレザーを用いたアイテムがとくに人気ですね」

2厚口の革を使った存在感抜群のベルトが人気

一方のDADYは1971年に始まったブランドだが、長らく休眠状態だった。再スタートしてからは、ANNAKとはテイストの異なるメンズライクで無骨なベルトを主力としている。このベルトをつくるうえで欠かせないのが、兵庫県たつの市を拠点とするタンナー、湯浅皮革工業所の革だ。
「姫路やたつのでも厚口に強いタンナーは少ないのですが、たまたま縁があって紹介していただきました。湯浅さんは、ピット槽がなくてもタンニンをしっかり入れた革をつくってくれるし、薬品の配合まで含めて提案してくれる研究熱心な姿勢も好感が持てます」
麻生さんは、湯浅皮革工業所の厚口革を高く評価しており、「現在の路線をさらに突き詰めて、唯一無二の個性を確立してほしいです」と、エールを送る。
さらに、ショップを運営するほかに催事にも積極的に参加し、ブランドのファンづくりにも力を入れている。
「日本革市をはじめ、催事で一般のお客様と対面するのはとても有意義なことです。仙台や新潟の催事で買い物をしてくれたお客様が上京した際にショップに寄ってくれたりすると、本当に嬉しく思います」

3日々の仕事の積み重ねが職人を一流にする

こうしてブランドを発展させていくためには、技術の継承と人材の育成が鍵となる。
「外部で働いている70代の方たちが現役でいてくれるから成り立っている面もありますが、これからは若い子の仕事も必要です。その子たちには、一週間ほどベテランの方の家に住み込みで技術を習得する研修のような機会を設けるなどして、先達からいろいろと学んでもらっています」
コバ磨き、ミシンの抑え、ロール――。何度も同じ作業をして体に染み込ませ、時には失敗をすることで技術が身に付く。ものづくりを繰り返していくと、「こういう製品は人気がでるかもしれない」などと、閃くこともある。だから麻生さんは、スタッフ全員に長く仕事を続けてほしいと思っている。
「日本のものづくりならではの繊細さ、几帳面さというものはたしかにあると思います。そこをうまく表現していきたいです」
また「革の経年変化を楽しめる文化がより浸透すると嬉しいですね」とも語ってくれた麻生さん。これからはショップや催事などで、メンテナンス法も伝えていくつもりだ。

2018/12/14 公開
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