素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本の皮革製品メーカーMaker

大切なのはクリエイティブなマインド
有限会社 ケルビム(長野)

1設計デザイナーを経てメーカーを設立

ケルビムの代表である堀内智樹さんは、20年以上にわたって工業機械や医療機器の設計デザインをしてきた。ひょんなことから長野に移住し、飯田市の工業アドバイザーとして活動する過程で、皮革産業が地域に根付いていることを知る。
堀内さんが宮内産業の宮内清彦さんと知り合ったのは約15年前。長い付き合いを経て、2010年にコードバンを使った新たな製品展開の相談をされ、まったくの門外漢ながら、メーカーを立ち上げて製品開発に協力することを決意した。
「コードバンという貴重な革があるということを知り、赤子が手ほどきを受けるような形で革について教えていただきました。その結果、天然のタンニンなめしであるコードバンの魅力が、少しずつ理解できるようになりました」
製品を開発するにあたり、堀内さんは自社ブランド「q-horse」を設立し、ベルトを手始めにプロダクトを制作。以後、ファブレスメーカーとして地場の職人と協力し、ベルトをはじめとするアイテムをつくり続けている。

2コードバンの個性を際立たせる

堀内さんがこれまで製品を売る中で苦労したのは、希少な革であるコードバンの魅力の伝え方だ。
「裏面を出すコードバン自体をご存じない方も多いので、催事で売り場に立っていると『本当に革なの?』というお声をいただくこともあります」
悔しさをバネに発奮した堀内さんは、取引のある革職人と宮内さんに依頼して、これまでにない風合いのコードバンを開発。
高価で稀少なコードバンの味わいを最大限活かすために、染色した後に信州産の蜜蝋を入れて仕上げ、風合いのあるオリジナル素材を完成させた。
こうして、ジャパン・レザー・プライド・タグをつけるにふさわしい革ができあがると、プロダクトの個性がより引き立つようになった。

3ファブレスメーカーとして職人と協力

創意工夫をもって誕生したコードバンは、堀内さんが信頼を寄せる工房に運ばれて製品へと生まれ変わる。今回は、堀内さんが「仕事に対するシビアさに惚れ込んでいる」という革泉を訪ねた。
革泉は、代表の百瀬憲さんをはじめとする若手が中心となって活躍する工房で、丁寧な仕事ぶりには定評がある。
「一点ものをつくっているわけではないので、利益のことはしっかり考えています。でも、ただ工業製品をつくっているわけでもない。スタッフにはいつも『あくまでもファッション製品だから、カッコよくなきゃいかんよ』と伝えています」(百瀬さん)
また、百瀬さんはメイド・イン・ジャパンのものづくりを次世代に継承することにも意欲的だ。こうした仲間に囲まれた堀内さんは「革泉さんのようにクリエイティブな精神を持っている同業者と、良質な馬革製品をつくっていきたいですね」と、前向きに語ってくれた。

2018/3/13 公開
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