素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本のタンナーTanner

今こそタンナーは表舞台に立つべき
中嶋皮革工業所(兵庫県たつの市)

1何よりも大切なのは技術力

「うちでつくっているのは、バッグ用の革が7割。中嶋皮革イコール、カジュアル。革はカジュアルでしょ。ファッションの流行を見つつの、時代に合わせたカジュアルやね。それが特長」
中嶋皮革工業所の代表を務める中嶋幹夫さんは、立て板に水のごとく話す。職人気質なマインドと時代を読む先見性を併せ持つ、稀有な仕事人である。
同社の歴史は、高度経済成長期に突入したばかりの1955年に幕を開ける。当時から衣料革を中心に生産し、現在もナチュラルな風合いの革から型押し加工をした革まで、さまざまなタイプの革をつくっている。
「先代の親父から言われていたのは、とにかく技術を磨けと。営業力がいくらあっても、技術力がなければ化けの皮が剥がれる。そこはいつも肝に銘じているところやね」
革をつくる工程に、全身全霊を傾ける。仲間の職人と常にコミュニケーションをはかり、品質の向上を目指す。職人としてはベテラン中のベテランだが、基本中の基本をしっかりと守っている。基本がおろそかでは、革新も望めないからだ。

2イタリアの革見本市で日本を俯瞰

中嶋さんは27歳の時から数年、イタリアのミラノで年に1回開催される世界最大の皮革見本市「リニアペレ」に自社の革を出品。若かりし頃から、グローバルな視点で日本の革について考えてきた。
「ああいうところに行けば、日本の革のええところも、悪いところも、率直に評価される。そういう経験が勉強になったし、確実に今につながってるな。国外の人が日本の革をどんなふうに評価しているのか知りたければ、ああいう場に出るのが手っ取り早いわ」
そんな経験があるから、ヨーロッパと日本の革も俯瞰して評価できる。
「ヨーロッパの革はね、これはモードや。あっちは流行をつくれるから、そこが強み。日本はなんやかんや言うてもクオリティの高さは世界に誇れる。安心・安全。僕らは、オーダーに忠実な革を何枚でもつくる技術に自信がある」
そして、その技術を若手の職人に伝えるために、早い段階で責任のある仕事を割り振るようにしている。こうすることで、技術が次世代へと継承されていく。

3品質への自信とプライドをタグに託す

「これまではあまり日の目を見ることがなかったんやけど、革をつくるタンナーも表舞台に出るべきやないか。誰が聞いても知っているような一流ブランドの革を、たつのや姫路のタンナーがつくっていたりするんやから、もっと知られてもいいはずや」
先代からタンナーを受け継いだ中嶋さんには、60余年にわたって高品質の革を造ってきたという誇りがある。クオリティとプライド。このふたつをタグに託し、ジャパンレザーの普及をさらに進めていくつもりだ。

2018/3/13 公開
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