素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本のタンナーTanner

品質の安定した日本製の革を世界にアピール
株式会社 山陽(兵庫県姫路市)

1紳士靴用の製革で日本トップシェア

山陽は、創業100年を超える歴史あるタンナー。紳士靴用の製革において日本でトップシェアを誇る。
ここでは、塩漬けされた原皮の処理から仕上げまで、すべての工程を自社工場で行っている。敷地内の南から北へ工程が進み、大勢の職人がそれぞれの作業に真剣な表情で打ち込んでいる。
大きな工場には、よそではお目にかかることの少ない機器も多くある。たとえば、大がかりな真空乾燥器。職人たちが素早い動きでプレートに革を挟んで乾かす様子は、きびきびしていて迫力がある。タンニンなめしができる大きなピット槽も存在感抜群だ。
「長年続いてきた会社なので技術の蓄積はありますが、課題となるのはそれらの継承です。嬉しいことに、新卒採用も少しずつ増え始めているので、徐々に伝えていければと思っています」
そう語るのは、同社の塩田和也さん。お客様のニーズに応える革をつくるためには、社内における人材の育成も必要なのだ。

2難易度の高いアドバン仕上げも可能

多くのメーカーと取引を行っている山陽だが、今回取り上げるのは、東京に工房を構えるパーリィーとの協力体制だ。
パーリィーからの依頼でつくっているのは、アドバン仕上げの革。仕上げを担当している小崎勉さんによると、なかなかに難易度の高い革らしい。
「アドバン仕上げというのは、革の表面にグラデーションをつける加工のことです。革の仕上げ工程で2色の塗装を重ねているので、ポリッシングマシーンで研ぎ出していくと、下の色が出てきて独特の光沢が出ます。幾層も塗膜を重ねるので、通常の革とは違う加工をするのが難しいところです。でも、パーリィーさんの期待に応えられるよう、常に努力しています」
アンティーク感のあるアドバン仕上げをするには、相応の技術力が必要となる。小崎さんをはじめとする職人の手によって、取引先を満足させるクオリティの高い革が完成するのだ。

3レザープロジェクト「100 BASIC」が好評

山陽では、105周年を記念して、ホームページをリニューアルし、「100 BASIC」というレザープロジェクトに取り組み始めた。一言でヌメ革といっても、その風合いは多種多様だ。そこでホームページにおいて100種類の異なるサンプルを用意し、番号を指定してお客様が求める革を1枚単位から提供している。このプロジェクトは、海外からも反響があるという。
日本の革であることをアピールするツールといえば、ジャパン・レザー・プライド・タグの存在があげられる。塩田さんは、「タグがあるのとないのでは、お客様のイメージもガラリと変わりますね」と、印象を語ってくれた。
「品質管理の行き届いたクオリティの高い革をアピールするのに、タグは有効だと思います。実際に、数社のメーカー様からこのタグを使いたいというご相談も受けています」
業界最大手だからこそ、地道な努力を忘れない。山陽が100年以上続いてきた理由はここにある。

2018/3/13 公開
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