【日本革市】NIHON KAWAICHI

きめ細やかな感性と、確かな「なめし」の技術。

一般社団法人 日本タンナーズ協会 Tanner's Council of Japan
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世界で高評価を受ける白なめしの伝承者

兵庫県姫路市新敏製革所

  • 新敏製革所
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1 自然環境を活かした古来の手法を実践

「白なめしで一番大切なポイントは、自然の力を活かしているということ。この地域に白なめしが定着した理由は、安定した天候が確保されるからや。播磨平野は一年を通じて雨が少なく、風も穏やか。大きな災害にもならん」
皮革産業の盛んな姫路市は、日本における白なめし発祥の地でもある。白なめしとは、薬品を使わずに、水、塩、菜種油のみで皮をなめす手法のこと。自然に恵まれた姫路では、千年以上にわたって白なめしの技術が継承されてきた。
一時は技術の伝承が危ぶまれたが、そのことに危機感を抱いた新敏製革所の新田眞大さんは、2000年より「白なめし革保存研究会」に参加。文献を紐解き、試作を重ね、理想とする白なめし革の完成に向けて歩みを進めてきた。
白なめしは、原皮を川の水にさらし、塩を入れて水分を抜き、十分に揉み込んだうえで、天日で乾燥させるのが一連の流れ。従来はすべて人の手で行われていたが、新田さんは要所で機械を用いる。千年前にはなかった機械を使うことで作業のスピードを早め、産業として軌道に乗せることが狙いだ。
むろん、完成前にはこまやかな手作業も必要である。ヘラ掛け台を使い、強情な繊維をほぐし、屈曲を柔軟にする。「スルメを噛んで柔らかくするのと理屈は一緒や」とのこと、なるほど上手い例えである。こうして完成した革は乳白色で、ふんわりとミルクのにおいが漂ってくる。
かつては武具などに使われていた白なめしだが、現在は宝物(ほうもつ)から美容グッズまで、その用途は多岐にわたる。新田さんがつくる白なめし革は、海外でも高い評価を受けている。

2 メーカーの熱い思いが品質を高める

そんな新敏製革所が取引しているメーカーの一つに、長崎のディアー・カンパニーがある。同社は雲仙の牧場で鹿を飼育しており、代表の八木紀子さんより「命を粗末にせず、副産物として出る皮を無駄なく使いたい」と相談された。その熱意にほだされる恰好で、一肌脱ぐことを決意したという。
「ディアー・カンパニーの八木社長は非常に熱心な方で、今の時代に合ったエコレザーで商品をつくりたいとおっしゃっていた。白なめし革は、藍や茜といった昔ながらの染料とも相性が良いので、八木社長がつくりたい商品のイメージとピッタリ重なったみたいやね」
現状、ディアー・カンパニーには、白なめし革とタンニン革を卸している。新田さんは、「タンニンの方は、八木社長たっての希望があったから。途中まで白なめしと同じ方法を採用しているのが特徴や」と、説明してくれた。この革をつくったプロダクトも、満足のいく完成度だったという。
「白なめしは薬品を使っていないから、革本来の堅牢性がしっかり保たれている。ただ、製品として使うと汚れるから、こまめに拭かなあかん。そうすると、芯に脂が残らない。時間が経つにつれて、いい表情を見せてくれるようになるで」
プロダクトのメンテナンス方法まで指南してくれる新田さん。その表情には、革へのなみなみならぬ愛情があふれている。

3 先達の技に一歩でも近づきたい

そんな白なめしへの注目度は、年々高まる一方だ。近年は、皮革業界とは異なる世界で活躍するクリエイターが白なめしに挑戦するようになってきている。また、新田さんの元へ世界中から技術を学びに来る人が増えているという。
「私が白なめしを通して言いたいのは、こういう古来の手法を忘れてはいけないということ。バイオテクノロジーの価値も理解できるけど、先ばっかり見ずに、人間の考えを一旦ニュートラルに戻さなあかん。自然の恵みを活かして革をつくれば、ええもんができるに決まってんねん。それぐらいの革がつくれなければ、世界に勝たれへん」
世界という言葉が出たところで、ジャパン・レザー・プライド・タグについての率直な意見も伺った。
「趣旨は素晴らしいと思う。ただ、一般の方たちはタグに込められた意味がわかっていないから、もっと周知が必要や。私自身、白なめしの普及でゼロベースから始めたようなものやから、苦労はようわかるけどな」
皮革業界全体の振興についても一家言のある新田さん。やるべき仕事は真摯なものづくりである。長きにわたり白なめしを継承してきた先輩方の技術に、一歩でも近づきたい――。その思いが、新田さんを突き動かしている。

このタンナーの革が使われている皮革製品メーカー

株式会社 ディアー・カンパニー 株式会社 ディアー・カンパニー(長崎県)
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