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きらびやかなミットを通じ、野球に興味を持ってほしい
平野工業 × KANAME Baseball Japan(カナメベースボールジャパン)

成金ミットを持つ上田社長(左)と小嶋さん(右)。

キズや脂分の多い和牛の原皮を有効活用し、野球グラブ用のhirano leatherを製造している株式会社平野工業の上田秀明さん(以下、上田社長)。キャッチャーミット専門のメーカーであるカナメベースボールジャパンの小嶋昭太郎さん(以下、小嶋さん)との出会いを経て、新たなhirano leatherを開発した。この革を使ったミットの名は、ずばり、成金ミット。はたしてどのようなミットなのか、おふたりに話を聞いた。

万博にちなみ大阪育ちの国産牛革を使用

おふたりが初めて出会ったのはいつになりますか。

視覚的なインパクトが大きい成金ミット。

上田社長

2024年に、大阪で野球用グラブのメーカーが集うイベントがありまして、そのときの二次会で声をかけたのが最初です。話してみたら、とにかくグラブが好きということがわかって、意気投合しました。

小嶋さん

そのとき、すぐに「革の手配をお願いします」と伝えた気がします。

一次加工から丁寧に作業を進めて革をつくった上田社長。

上田社長

お酒を飲むのも仕事で、飲んだら仕事につながるというか。シラフで話しとってもいい発想は浮かんでこないけど、飲んどったらいっぱいアイデアが出てくる(笑)。

小嶋さん

その二次会のときかどうかは忘れましたが、2024年に上田社長と打ち合わせをしていて、来年(2025年)に大阪万博が開催されるから、大阪で育った和牛を使ったミットをつくりたいという話をさせていただいたことはたしかです。

今作について、小嶋さんはどのようなミットを構想していたのでしょうか。

小嶋さん

とにかくギラギラして目立つミットです。パッと見たときにいかに興味を持ってもらえるかを大切にしているので、上田社長にペイズリー柄の型押しをお願いしました。また、ワッペンも水の都をイメージしたものにして、少しでも大阪万博を盛り上げたいという思いがありました。

上田社長がhirano leatherをつくるうえで留意したことは?

上田社長

当社で製造しているSDGsグラブ用の革とほぼ同じですね。等級の低い大阪で育った和牛の原皮を使い、一次加工から妥協せずに仕事をして品質を担保しました。ペイズリー柄の型押し作業は外部に委託しています。

小嶋さん

2024年の秋までは、ミットを制作する際に北米産のステアをメインに使っていたのですが、和牛の革をベースにしたミットのほうが手にしっくりなじみますね。型付けをして手を入れたときのやわらかさが肌に吸いつくような感触で、使いやすさは確実に向上しました。

上田社長

うちは問屋さんを通していないので、何回も打ち合わせをして小嶋くんの要望を聞けたのはよかったと思います。ただ、手によくなじむなんて話は初めて聞いたな(笑)。

インテリアとしても映える華やかさが魅力

成金ミットの機能面について説明をお願いします。

グラブ・ミット好きが高じてメーカーを立ち上げた小嶋さん。

小嶋さん

大きさは小型になります。ミットには縦型と横型があるのですが、成金ミットは横型です。ポケットは、現在の主流である深めではなく浅めです。一般的に、浅めのポケットは捕球が難しいとされていますが、盗塁されときの送球の握り替えがしやすいというメリットがあります。成金ミットにかんしては、浅めですが捕球のしやすさも追求しています。ちなみに、捕球音も抜群です。

ディティールで凝っている部分は?

小嶋さん

いろいろとありますが、わかりやすいところでは締め紐ですね。大抵のミットは一本の紐が通っているのですが、成金ミットは紐がクロスしています。多少重さは加わるのですが、締め紐をクロスにすることでミットそのものの強度は上がります。

部位によってカラーを変えるなどのカスタムオーダーはできるのでしょうか。

小嶋さん

プラスアルファで料金をいただくかたちになりますが、基本的にはできます。好みの色にカスタムしていただければ、世界にひとつしかない華やかなミットになります。ちなみに、阪神タイガース Womenの田垣朔來羽(たがき・そらは)選手に成金ミットを使っていただいているのですが、田垣選手のミットはイエローベースにブラックの紐を合わせたタイガースカラーに近いものです。

実用としてはもちろん、インテリアとしても映えそうです。

小嶋さん

そうですね。ふだんから野球をしている人や野球ファンはもちろん、野球に興味のない方にも手にとっていただきたいです。海外では、韓国と台湾でいい反応をいただいているので、ほかの国の野球好きにもアピールしていきたいですね。

革の製造工程において打ち合わせをするふたり。

上田社長

こういうインパクトの強いミットの存在がきっかけとなって、野球をする人が少しでも増えたらええな、という気持ちで革をつくりました。

成金ミットに使用したペイズリー柄のhirano leather。

小嶋さん

高校生がパッと見て興味を持ってくれたりするとうれしいですね。高校で野球部に入ると、年に一度はグラブやミットを買い換えることになります。そのときは、hirano leatherのおかげでリーズナブルに提供できる成金ミットを選択肢に入れてもらえたらな、と思っています。

2025/9/12 公開
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