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シボの凹凸を加工したヌメゴートの進化版
株式会社 小笠原染革所(東京都墨田区)

ヌメゴートグロック 美囊Ver.を使ったバッグと小笠原社長。

さまざまなメーカーと取引を行っている株式会社 小笠原染革所(以下、小笠原染革所)。今回は、鞄メーカーである株式会社 美囊(以下、美囊)の依頼により、ヌメゴートの進化版ともいえる革を開発。その舞台裏について、代表取締役の小笠原誉行さん(以下、小笠原社長)に話を聞いた。

手作業による頭擦りで柔らかさと立体感を付与

美囊さんとのお付き合いはどれくらいになりますか。

頭擦りをして完成させるヌメゴートグロック 美囊Ver.。

小笠原社長

僕が入社したときには取引していたので、40年近くになると思います。トレンドの最先端をいくようなデザインの鞄を、ひと手間もふた手間もかけて丁寧につくっているメーカーさんです。ふだんはゴートよりもシープを使っていただくことが多いです。

今回は、美囊さんとどのような経緯でコラボレーションすることになったのでしょうか。

小笠原社長

ヌメゴートを進化させたヌメゴートグロックという革が完成したときに、ぜひ使ってもらえないかということで話を持ちかけました。美囊さんであれば、プレミアム感のある鞄をつくってもらえるだろうという確信があったからです。

ヌメゴートグロック 美囊Ver.の特徴を教えてください。

一枚一枚、手作業によってオイルを塗布している作業。

小笠原社長

全体的にはソフトな風合いの革です。工程として重要なのは頭擦りという作業で、シボの凹凸の凸部分をサンドペーパーで削り、吟先により柔らかさを出し、また凹部分のツヤを強調するように仕上げています。凸部分は擦るとやや青みがかってしまうため、最後にオイルを塗布することで黒みを補い、触感を付与しています。擦る前にたっぷりと蝋を手塗りしているのでその分、凹部分のツヤが引くことはありません。

工程の中でもっとも大切なポイントは?

小笠原社長

どれも大切ですが、革の風合いにもっとも影響をおよぼすのが手作業で行う擦り加工です。擦り専用の大型機械もあるのですが、力の微妙な加減が必要なため使うことが出来ません。そのため労力はかかりますが、職人が一枚一枚、サンドペーパーを使った手擦り加工を行っています。

これまでに、このような加工をした革を製造していたことはあるのでしょうか。

ヌメゴートグロック 美囊Ver.について語ってくれた小笠原社長。

小笠原社長

今回がはじめてですね。革の風合いについて美囊さんからちょっとした希望があったので、職人が打ち合わせをして、試行錯誤してこのやり方を編み出しました。

ヌメゴートグロック 美囊Ver.はものすごく手間がかかっているのですね。

間近で見ると凹凸のツヤ感とやわらかさが伝わってくる。

小笠原社長

そうですね。とにかく時間のかかる仕上げなので、見る人に見ていただければ、そのクオリティがわかっていただけると思います。実際に手に取って間近で見ていただくと、独特のツヤ感が伝わるはずです。

カラーバリエーションはどのくらいあるのでしょうか。

小笠原社長

ひとまずはブラックのみです。今後、オーダーがあれば別のカラーも考えますが、おそらく試行錯誤に時間がかかると思います。

ヌメゴートグロック 美囊Ver.を使った鞄や小物をご覧になった感想はいかがですか。

革の風合いを活かした美囊のバッグとカードケース。

小笠原社長

ヌメゴートグロック 美囊Ver.のやわらかさが前面に出ていて、すごく良いと思います。美囊さんのプロダクトらしく、飽きずに長く使えるデザインに仕上がっているのも魅力的ですね。多くの方に使っていただきたいです。

2025/9/12 公開
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